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産業構造審議会 でDena南場会長「自動運転」でプレゼン

[ ITS/CASE&MaaS 自動運転 ]

9月13日経産省で第9回産業構造審議会・新産業部会が開催され、戦略分野として「『移動する』の検討」が取り上げられ、今後の「人流・物流」に関するプレゼンと動向に関する議論が行われた。
会議では、「移動」分野で2030年代に目指すべき将来像に於いては、「光の実現」=ポジィティブな面の促進と「影の回避」=ネガティブ面の解消とに取り組むべきとしている。(*ポジィチィブ、ネガティブは筆者の解釈)
「光の実現」
「革新的技術・データの利活用により、国内外で、『移動』に関連する様々な社会的・構造的な課題が解決される可能性」がある。
「人の移動の分野」では以下の4項目。
① 交通事故死者数減;運転手に起因する死者を限りなくゼロに
② 移動困難の解消;免許非保有者 国内約4千万人、買物弱者、国内700万人の中の移動困難者を限りなく ゼロに
③ 通勤・通学時間の有効活用化;平均の通学・通勤時間は往復79分中、1時間/日の自由時間への転換
④ 時間的遊休資産下の自動車の有効活用化;平均数%/日の自家用車の有効稼動率の大幅向上
「物の移動」の分野では以下の4項目。
① 運輸部門・交通部門のエネルギー消費並びに温室効果ガス排出の減少;
国内CO2排出量の約17%(運輸)であるが、その運輸部門でのCO2排出量を28%減(2030年)
② 物流業等での労働需給インバランスの解消 於幹線、ラスト1マイル;
貨物自動車運転者の求人超過が約4万に達しており、そのインバランスを解消
③ 宅配再配達の負荷減少;再配達率19%、再配走行距離約25%を限りなくゼロに
④ 離島での生活必需品流通の改善;全離島人口31.9万人の生活改善
「影の回避」
技術発展に伴い、移動手段、システム・ネットワーク、労働・雇用・社会保障、社会的受容の各層にて、新たなリスクが顕在化する可能性を先取りし、その対応策をロードマップに織り込む必要がある。
以下の4項目で整理される。
① 移動手段 (エッジ)
セキュリティリスク・・・・自動走行車やドローンが外部からの不正なハッキングにより制御不能となり、乗車している人や周囲の人物に事故が発生するリスク
② システム・ネットワーク
システムリスク(誤情報による共鳴)・・・・自動走行車が、ネットワークを通じて得た誤った情報の下で対応動作が増幅することで、交通システムの制御が不安定化し、事故が生じるリスク
③ 労働・雇用・社会保障
労働・雇用・社会保障リスク・・・・産業構造の変化に伴う新たな労働スキル習得の、あるいは労働スタイルの多様化の必要性が増大するが、こうした変化に、労働市場、雇用制度、社会保障制度等が対応できないリスク
④ 社会的受容
社会的受容性リスク・・・・自動走行車やドローンが社会の大宗に受け入れられる前に、大規模な人身事故が起きること等により嫌悪感や忌避傾向が顕著になり、その結果、技術的に可能であっても社会実装されないリスク
更に、目指すべき将来像を実現するための三つの柱として「移動手段、システム、ビジネス環境」の一層の整備が必要としている。
尚、会議では部会委員から、「人の移動」(自動走行等)に関しては、南場(株)ディー・エヌ・エー 会長が、「物の移動」(ドローン等)に関しては、安藤 楽天(株) 常務執行役が、それぞれプレゼンを行っている。
南場氏は、「⾃動⾛⾏サービスに関するDeNAの取組」と題し、ロボットタクシーやカーシェアサービス等を紹介した後、「インターネットビジネスからみた⾃動⾞産業の⾒え⽅」として、自動車産業は「i-mode以前」、すなわち、やっと「デジタル端末がネットに繋がった」状態であると評した。
また、「政府にお願いしたい規制緩和事項」として、2020年の東京オリンピックの年に、限定された地域でもよいとして、公道で無⼈運転⾞両が⾃由に⾛ることができる制度の環境整備を要請した。加えて、 これに向け、2017年には無⼈運転の公道実証実験ができるよう、制度の環境整備も要請した。
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独が「第4次産業革命」、米が「IoTの標準化」を掲げて産・官で施策を展開する中、経産省も産構審で今後の施策について検討している。
今回 特に産業政策という立ち位置は維持しつつ「移動」の分野についても、他省庁所管の制度について言及しながら「規制緩和」と「日本の産業の強みと弱み」について検討しているのは意義深い。
Denaの事業について紹介した南場会長が「インターネットとの関連で、「自動車産業は、i-mode以前」と評しているが、産構審委員からの突き上げと見ることもできる。

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