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トヨタ「700GHz帯実用化」

[ ITS/CASE&MaaS トヨタ ]

トヨタはこの程、最高級乗用車クラウンとハイブリッド車プリウスをモデルチェンジし、国内初となる700Mhz帯を利用した「路車通信を利用した安全パッケージ」を搭載したと発表した。
700MHz 帯は、2011年7月に終了したアナログ放送完全停波により生じた「空き領域」でプラチナバンドと呼ばれていた。2007年には700MHz帯のうち周波数755.5~764.5MHzの9MHz幅、1chが「協調型の安全運転支援システム」で活用することが決定された。その後2012年にはARIB STD ARIB STD-T109として規格化され国際的にも標準化の手続きが行われている。
その後、700MHz 帯の電波を活用した車車間・路車間通信等による協調型の安全運転支援システムの実用化に向けた開発が進む中で、総務省は2014年2月から、「情報セキュリティ アドバイザリーボード ITSワーキンググループ」を開催して情報セキュリティ要件等について検討してきた。
同年6月には、同グループの議論を踏まえ、車車間・路車間通信のセキュリティ及び安全運転支援システムのセキュリティ管理に関する基本方針と機能要件を、「700MHz帯安全運転支援システムのセキュリティ要求事項」(「要求事項」)として取りまとめ公表した。
さらに今年7月には同要求事項に基づいて「700MHz帯安全運転支援システム構築のためのセキュリティガイドライン」として取りまとめた。
今後「セキュリティ仕様書」の作成と「運用体制整備」が必要になるが、この作業は昨年10月に設立された「ITS Connect推進協議会」が担当している。https://www.itsconnect-pc.org/
「ガイドライン」に基づく今後の作業プロセスを見ると、同協議会はETC立ち上げ時にHIDOが担当してきた機能を担っている。すなわち「システムの実用に係わる運用企画、技術仕様・技術仕様の検討・管理、相互接続の環境構築支援、普及促進、システム実用化の支援」を行う
しかし、現在「車載器セキュリティ」に関す環境や関心は、ETC実用開始時と比べると比べ物にならないぐらい厳しい。また、同帯域の活用については自動車メーカーの間で設計思想に差異があり有力メーカの一部が参加を見合すなど必ずしも歩調があっていると言えない。
ボルドーでのITS世界会議でも昨年発足した「ITS Connect推進協議会」の概要をPRするパネルを展示していたが、発起人や会員名簿からもこのことが見て取れる。また、同システムを利用する為のアンテナも東京都や愛知県の一部に限られ、急速な普及や交通事故削減効果が期待できるとはいえない。しかし、交通事故削減策が手詰まりの状況の中で、DSRCと異なる特質を持つ700MHz帯の活用によって交通事故削減対策のメニューが拡大したことは確実である。

また、今後自動運転や高度運転支援システムの市場投入が現実化してくる中で、通信路のセキュリティ確保の方策について、ITS Connectで採用したいわば「ETC方式」を採用するのか?それとももっと信頼性の高い方式が必要なのか、逆にもっと簡便な方策を採用するのか興味深いとことである。
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