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豊田市交通モデル都市 ⑥ 名大COIと筑波大COCNとトヨタ

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 年度末になると、官公庁関係プロジェクトの報告書発表や報告会が行われる。今年も時間の許す限り関心のあるテーマについてフォローしている。
その中で名大COI(*)と筑波大COCNは興味深い。
 (*)文部科学省プロジェクト。潜在している将来社会のニーズから10年後を見通した革新的な研究開発課題を特定した上で、革新的なイノベーションを産学連携で実現するため、平成25年度から「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」を開始。現在、全国18の拠点で大学や企業の関係者が一体となって研究開発を推進している。
◆名大COIのテーマは「人がつながる"移動"イノベーション」、今年で4年目を迎える。
狙いは「高齢者が元気になるモビリティ社会を構築」「すべての人が地域差・個人差がなく、いつまでも社会の中で、現役として活躍できる社会の実現に向け、高齢者が自らの意思でいつでも移動できる『高齢者が元気になるモビリティ社会』」の構築である。
研究拠点長は、トヨタの未来創造センターの担当部長 畔柳 滋氏、研究リーダーは森川 高行教授が就任。
3月14日の公開シンポジュームでは、研究開発 5テーマの領域について、ゆっくり自動運転@、CSS(コミュニティサポートシステム)、ドライバーエージェント等の報告が行われた。
▼特色は
① 豊田市足助地区、春日井市高蔵寺地区など愛知県の具体的フィールドで実証が行なわれている。
② 高齢者のモビリティ対策については、自動車学校の高齢者講習に参加した受講者のデータの分析も行っている。シンポジューム当日はモニターになっている多くの高齢者も参加していた。
③ モビリティ対策は「コミュニティづくり」というコンセプトで住居から交通結節点、目的地を俯瞰した対策を検討している。
④ ビジョンを実現するための要素技術について研究が行われている。
などで10年計画のフェーズⅡの段階を着実に推移しているという印象である。
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◆筑波大COCN(*)は、正確に言うならば、産業競争力懇談会(COCN)の昨年度のテーマである「地域社会の次世代自動車交通基盤」の構築。2018年度から同大を中核研究機関として実証を行っていこうというプロジェクトである。
 (*)一般社団法人産業競争力懇談会(COCN=Council on Competitiveness-Nippon)。
産業界の有志により、国の持続的発展の基盤となる産業競争力を高めるため、科学技術政策、産業政策などの諸施策や官民の役割分担を、産官学協力のもと合同検討により政策提言としてとりまとめ、関連機関への働きかけを行い、実現を図る活動を行っている。

▼≪2018年度推進テーマプロジェクト≫は以下の通り
継続テーマ
◎健康医療介護の質指標とまちづくり情報基盤
◎デジタルを融合したバイオ産業戦略
◎地域社会の次世代自動車交通基盤
新規テーマ(プロジェクト開始までにタイトルの見直しがあり得る)
◎エネルギー革新に向けたMI(マテリアルズ・インテグレーション)基盤の構築
◎iPS細胞バンクを中心としたエコシステムの構築
◎デジタルスマートシティの構築
◎人共存ロボティクス普及基盤形成

▼≪地域社会の次世代自動車交通基盤プロジェクト≫では、
リーダー:大澤 義明氏(筑波大学社会工学域 教授)、サブリーダー:高原 勇氏(トヨタ自動車株式会社 BR-未来社会工学室 室長)、筑波大学 未来社会工学センター長・特命教授が当たる。事務局は筑波大、トヨタ、三菱総研で構成。

プロジェクトの基本的な考え方・目的は、
「未来社会を見据えて地域に必要とされる次世代自動車交通基盤を構築し、新たな社会サービス・雇用創出と地域ストックの循環・価値向上を実現させ、地域の経済・社会課題を解決することである。また、次世代自動車交通基盤の拠点をつくば市、中心に常総市や石岡市などを対象にしている。
◎つくば市では、「新たな人流、移動革命を実現する次世代自動車交通基盤の拠点」を構築し、自動運転、ライドシェア、小型モビリティなどの革新技術を組み合わせたMaaS先導都市モデルを実現する。
◎常総市(水海道地区)では、「交通事故ゼロ、防災・減災機能を果たす安全・安心なモビリティ・インフラの実装」として、事故未然防止システム、交通制御、IoT車両情報、移動式電源としての自動車を利活用したレジリエントな地域社会を実現する。
◎石岡市(八郷地区)では、「時空間制約を解放し地球環境に貢献する地方交通スマートシステムの整備」として、サスティナブルな環境・エネルギー・モビリティサービスを備えた新たな魅力に満ちた地域コミュニティを実現することを目指す。
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◆名大COIと筑波大COCNの類似点と相違点、
▼類似点
◎地方交通の在り方と対策について、最近の自動車交通関連の技術進化を踏まえて対応している
◎名大は豊田市や春日井市を、筑波大は、つくば市、常総市、石岡市の具体的フィールドを設定している。
◎トヨタ自動車の未来創生センターが関与している。
▼相違点
◎COIは文科省の正式プロジェクトで予算化され、4年経過しているのに対し、COCNは民間の研究レポートの段階である。
◎COIは「高齢者の」モビリティ」に焦点を絞ってきているのに対し、COCNは、そこまでには至っていない。

筆者が注目しているのは、最近の大学研究の特色として「地域密着型」があり、両大学の取り組みは、交通の分野での競争と見える。
また、自治体にとっては、千葉県柏市・東大の連携プロジェクトも加えて、次世代スマートモビリティ・シティ構築「交通モデル都市づくり」の競争である。さらに、トヨタにとっては、"箱もの"売り切りビジネスからMaaSプロバイダーなど「未来創生」の可能性検討の「一つの試み」という仮説で見ると面白い。


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