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MaaSに関する過熱と現実

[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS MaaS 自動運転 ]


◆UberやGraphをMaaS事業者とみるか否かは定義によるが、「所有から利用」の流れの中で自動車産業に影響を与えることは明らかである。
GM、FORD、Benz、トヨタ、など自動車各社がシェアリング各社に出資しているのは、新車販売先の確保と付帯売り上げの確保のためである。シェアリング運用のソフトとデータは,スマホで言えばAndroid、iOSに相当する。将来市場の陣取り合戦の意味を持つ。
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また、興味あるのは、トヨタがシェアリング事業でデータ管理と合わせシ車両管理、メンテナンスに関連分野への進出である。
シェアリングサービスの先駆者であるパリのAutolibは車両のメンテナンス費用の負担増のため昨年サービスを取りやめた。
どの事業も成立するには地味なインフラ部分がしっかりしていないと成り立たない。蛇足だがテスラが量産車種モデル3の立ち上がりで電池組み立てラインの混乱から約半年発売が遅れたのも同様な例と見て取れる。

自動車メーカーの中でいち早く「モビリティ産業への転身」を掲げTaaS(Transportaon as a Service)を提唱したFordは、2016年に買収した「オンデマンド」のバスサービスの事業を終了すると発表した。。IPOなどで注目を集めているUberも現在のところ赤字であり参入者は相当のリソース・体力が必要である。IT/AIの時代に「モノづくりやすり合わせ」をあまり強調するのも如何と思うが、モビリティ関連事業の発展もリアルなインフラの存在が前提になっていることは見逃してはならない。

◆MaaS市場の「領域や深さ」についての考え方は必ずしも定まっていない。
MaaS自体が現在構築中の分野であるから当たり前である。本来新規事業は各企業が密かに検討する戦略分野であり、立ち上がり前から全貌が解るぐらいの案件は新規事業ではない、という皮肉な見方もできる。流行言葉を使えば、「デザイン思考とアジャイル開発」で作り上げていくものである。

◆最近「企業価値」を上げるため、各企業は前のめり気味に自らの取り組みについて情報開示・公表しているが、公開情報は周回遅れのものに過ぎない。
ちなみにGAFAがそれぞれの領域を開発・参入した当初は世の中に全貌は示さなかった。だからこそ先行者利益を享受できているわけである。
トヨタとソフトバンク等が共同出設立したMONNETの社長は記者会見で「手数料収入を狙うのであればすぐできるが、目指すビジネスはそれだけではないが、全体はまだ解らない」いう趣旨の発言をしているが、正直なところであろう。
◆自動車メーカーは、今後CASEという本命分野への研究開発投資を行いつつ、モビリティ分野への投資というチャレンジは続けざる得ない。


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