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Workshop on Connected and Automated Driving Systems「自動走行に関する国際ワークショップ」

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11月17~18日の2日間東京青山の国際連合大学でWorkshop on Connected and Automated Driving Systems「自動車の自動走行に関する国際ワークショップ」(シンポジューム)が開催され取材した。
主催者は政府の総合科学技術・イノベーション会議、戦略的イノベーション創造プログラム、自動走行システム推進委員会で、登壇者は日米欧の産官学の専門家であった。ただ、欧米自動車メーカーの参加者はBMWだけでBenz,GM等は不参加であった。
同会の目的は「自動運転について欧州や米国における活動にも参画して積極的に情報発信を行うこと。また日本に定常的な国際的議論の場を設けることにより、『国際的な合意形成に主導的な役割を担う』」ことである。
戦略的イノベーションプロジェクト(SIP)の中にも国際連携構築のWGが設置され今回は同WGの企画によるものである。

開会式では山口内閣府(科学技術政策等)特命担当大臣が登壇しわが国の立場と国際連携の重要性について述べた。基調報告では日米欧の代表がそれぞれの国・地域の活動について説明した。米国からはDOTの次官補代理が参加し、「米国の2015-2019年にかけての戦略プラン」自動運転に関する取り組みの紹介と日米欧の連携について述べた。EUは在日代表部一等書記官がEUの「Horizon2020計画」について説明、日本は遠藤CIO等がIT戦略、成長戦略について説明した。

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シンポジュームはテーマは以下の5テーマである。
Session 1(S1):Dynamic Maps地図情報の高度化
Session 2(S2):Connected Vehicles 車車・路車協調システム
Session 3(S3):Next Generation Transport次世代都市交通
Session 4(S4):Human Factors人と走行システムの関係
Session 5(S5):Impact assessment自動運転技術の効果


各テーマの「自動運転プロジェクト推進」上の位置づけを理解する為のSIPの「研究開発テーマ分類表」を活用してS1からS5と表記した。図に掲げられているテーマは今後PDCAを加えながら推進されるテーマである。ちなみに米・欧に先述のように「TS Strategic Plan (2015-2019)」「Horizon2020」を作成しており、内容も類似している。

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S1からS5の概要について簡単に纏める。
S1では自動走行システムを実現するためにコアの要素技術である地図生成の取り組みと課題が説明された。この分野で米国の有力な企業家でありかつ論客でもあるShield氏は「プローブ情報の重要性に焦点を絞り課題を説明していた。また日本ははで標準化の必要性について触れ、ISO TC204 WG3とISO TC204 WG18が検討していることを紹介した。


S2では車両の必要な制御や支援を実現するにあたり重要な、交通管理情報の取得、 路側センサーや車車間通信等による高精度な交通状況の取得、歩行者の動静状況把握と歩行者への移動支援等に関する組み状況が説明された
日本からはV2V・V2Iの研究テーマとその状況、名古屋・広島など国内における社会実験について紹介。また10月24日に設立したばかりの民間企業によるITS-Connect Promotion Consortiumについて説明した。EUからは仏のSCOOP,ロッテルダムーフランクフルトーウイーン間の大動脈 Cooperative ITS Corridorの取り組みが報告された

S3ではわが国から特に2020 年の東京オリンピック・パラリンピックを SIP 自動走行システムの一里塚として捉え、将来の発展に資する次世代交通システムの実用化に向け、 次世代公共道路交通システムの開発、交通弱者・歩行支援システムの開発取り組みについて説明した。

S4ではドライバーの特性を踏まえた運転行動データに基づいた危険予測シミュレーション技術の構築、ドライバーと自動運転機能との受け渡し「take over」について議論されていた

S5では運転支援システムの交通事故死者低減効果を正確に見積もる技術について説明された。事故削減に積極的に取り組んでいるわが国の発表が突出している感じである。

今回開催の目的は先に記述したように日本で定常的な国際的議論の場を設けることにより、『国際的な合意形成に主導的な役割を担う』」ことである。C-ITS(協調型高度道路交通システム)の分野で米欧の協調が目立ち、標準化のレベルでも日本参画の重要性が訴えられている。

しかし、この種のイベントに参加して常に感じることであるが、発表者はそれぞれの領域につきスマートに纏めており、聴衆は各分野の専門家でない限り背後に隠れている微妙な課題は理解できない。専門家はそれを理解し、場外でのクローズでの場面で情報交換しているものである。今回も2日午後の関係者だけの会合等で微妙なやり取りや人間関係の構築を行ったと推測される。そして、そのことが「真の目的」であろう。

一方、地図や通信における標準化、DSRC帯のWifi活用、700Mhz帯の活用の評価などなど課題は多い。Workshopは今後も毎年開催され 今回取り上げられてないテーマや今回テーマの進行状況が議論される予定である。聴取者はネットで募集したが予定の300人がすぐ満席にするなど関心の高さを示した。各国が国益をかけて取り組む分野であるだけに目が離せない。

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