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戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の推進に500億円(3年度目)

[ ITS動向 自動運転 ]

平成 28 年度 内閣府重点施策として戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の推進に来年度も500億円が計上されている。
SIPの一部である自動走行関連も昨年と同じ程度計上が想定されており、3年目を向かえ産官学連携による自動運転プロジェクトの各テーマももいよいよ具体的な作業段階を迎えることになる。そのなかで、政府は、自動運転技術実用化のアプリケーションを「隊列走行」「自動駐車」「ラストワンマイル自動走行」の三つに絞り2030年までの実用化を目指す)と言う報道がある。市街地走行の取り扱いについて今後議論を呼ぶことになる。

自動運転に関して特に最近注目されているのが「セキュリティ」、「ダイナミックマップ」、「国際標準化」、「車両と人の責任分解点とそれに伴う制度作り」である。
以下には「ダイナミックマップ」について少し詳しく動向をまとめる。

「ダイナミックマップ」についてはIWC(ITS世界会議) SIS67 -Dynamic map "beyond the local dynamic map" と昨年のSIP WorkshopのSession Dynamic Map (走行環境のモデル化)でも議論された。双方ともSIPのDynamic mapの主要構成員である高田名大教授と柴田DRM特別研究員のモデレータを務めていた。
ダイナミックマップとは「道路情報と道路上の物体に関する静的情報,動的情報,予測情報」で構成されこれらを「時間的・空間的に統一して扱う」ことにしている。
使用される情報は更新に必要なタイミングから1ヶ月単位でから1秒単位に区分され4階層に区分している。
現在SIPで14-16年にかけて地図情報のアッセンブリと構造化を進める手法、グローバルダイナミックマップの試作を行い、取り扱う動的・静的情報の収集、並びに、データ整備・維持・更新に関する調査検討を行っている。今年は2020年のオリンピック会場予定地である台場地区のデーター生成に注力している。
この作業を主として担ってのは「ダイナミックマップ構築検討コンソーシアム」で三菱電機株式会社、アイサンテクノロジー株式会社、インクリメント・ピー株式会社、株式会社ゼンリン、株式会社トヨタマップマスター、株式会社パスコ、株式会社三菱総合研究所の7社で構成されている。
SIPのSession Dynamic Mapではコンソシアムの三菱電機小山氏から詳しい説明が行われた他、日本と連携をとっている欧米のそれぞれの代表から取り組みについて説明が行われた。
EUでは現在自動運転についてVRA( Vehicle and Road Automation)プロジェクトを推進中であるがその中で自動運転のDIGITAL INFRAの構築を推進中である。
米国DOTでは「自律の自動運転にて実現するには、人間並みの視覚情報を処理するパフォーマンスが必要でダイナミックマップが必要である」という立場である。DOTではITSに関する3極連携の作業として 日米欧のステークホルダーに対してオンラインでのアンケート調査を実施し、40の回答を得ている。この中で政府のデジタルインフラ作りへの関与について80%が関与の必要性を認めている。以上のように3極の関係者のベクトルは一致している。

しかし、IWC,SIPいずれにもパネラーとして参加したMr. Russell Shields( Chair, Ygomi LLC)は一貫してこの動きに反対している。同氏はITSAmericaやITS 世界会議、地図メーーカーナブテックの創立者でITS 功労者として表彰されているなどITS業界の重鎮である
彼は個人的な意見と断りながら以下の主張を繰り返している
図はIWC SIS67におけるプレゼンのスライド表紙である。ここで見て取れる通り自動運転(HAD)にとってLDM(Local Dynamic Map)は不要と明確に主張している。
itswcssheels.jpg
その主な理由は以下のとおりである。
自律の自動運転にて実現するには、人間並みの視覚情報を処理するパフォーマンスが必要。ただ、これには限界があり、それを補う意味でもダイナミックマップが必要である。
しかし、
・自動運転のダイナミックマップ、人間用の地図を使用していてはダメで全く別の必要性から構築されるものでなければならない。
・それは、車載のカメラやセンサーにて認識出来る道路の情報をシンプルなデータ構造としてWifiを通じて収集する。すなわち従来型のマップのイメージとは異なり、圧縮されたデータベース=CAD並みの精度でなければならない。
・ 車両システムは、耐用年数(14年~20年)の中で、ネットワークを通じ、更新されていく。道路当局は新しいプロトコルが使えるように、通信能力をUpdateしていく必要がある。
・ 現実的なコストでサービスを提供する必要ありDMはコスト的にも問題である。
また、自動運転で一歩先にあると言われるGoogleは公表されている情報で見る限りインフラに依存しないAIを駆使した「Stand Alone」のデータベースで対応しようとしているように見える。

以上のようにダイナミックマップは、自動運転の「キラーコンテンツ」の性格を持っているが現在の検討方向だけで進むかどうか明らかではない。
日本の関係者はMr. Russell Shieldsの意見に否定的であるが、同氏の動向を気にしていることは間違いない。また、欧米の発表も非常に慎重な言い回しをしており、今後の動向が注目しておく必要がある

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