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第119回 トヨタ株主総会でのCASE関連質問

[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS 取材 ]

第119 回トヨタ株主総会が、6月14日(水) 愛知県豊田市のトヨタ本社で行われた。総会看板.jpg
コロナ禍が落ち着いたこと、豊田会長が議長を務める最後の総会ということで参加した。

トヨタ会長は、社長を務めた14年間を振り返り「自分はマイノリティだったので、皆の声に耳を傾けること、トヨタの原点に立ち返って判断することを心掛けてきた」と述懐したうえで、「トヨタの主権は、今や現場にある」と声を詰まらせて述べた。リーマンショック直後に社長に就任し、苦難の連続のかじ取りであった。

最近の各社の総会は、「アクティビスト」の"不規則質問"がない限り、リハーサル通りの展開であるから面白みはない。しかし、逆に会社が社会に何を伝えたいか、という視点で聞くと、意図が明確に見える。

■CASE関連の、BEV、Woven City、自動運転、に関わる3点について記述する。

まず、BEVに関する取り組み

同社は、2026年 年間150万台、2030年は年間350万台、のEV販売体制を進めると宣言している。

加藤 武郎 氏(5月に社内組織「BEVファクトリー」プレジデントに就任)が答弁。
同氏は「自分はBEVが大好きです」と述べた後、車自体、ものづくり、仕事のやり方、の3軸で全面的に変えると述べている。

トヨタは、総会直前の6月8日(木)同社 東富士研究所でメディア向けの技術説明会「Toyota Technical Workshop」を開催した、その報道も合わせると回答内容は概ね以下のようになる。(トヨタニュースリリース)
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/39288466.html

① 車づくり軸
次世代電池の採用と音速技術の融合などで、「航続距離1,000km」を実現する。かっこいいデザインの実現のため、空力性能はAIがサポートしArene OS、フルOTAで操る楽しさを無限に広げる。「マニュアルEV」のように、「クルマ屋だからこそ出来る技術」でお客様にワクワクする驚きと楽しさをお届ける。

② モノづくり軸
車体を3分割の新モジュール構造とし、ギガキャストの採用で、大幅な部品統合を実現する。そのことで、車両開発費、工場投資の削減、さらに自走生産の技術、で工程と工場投資を半減する。

③ 仕事のやり方軸
「BEVファクトリー」は、ワンリーダーの元、ウーブン・バイ・トヨタや外部パートナーなどクルマ屋の枠組みを超えた、全ての機能と地域が集まるALL in ONE TEAMである。
このONE TEAMで仕事のやり方を変革し、皆が同じ現場で、同じ問題意識を持ち、素早い意思決定と初動を実現する。

豊田会長は、「『(加藤氏は)BEVが好きだ』と2回続けて言った。好きだから"テスラに勝てる"とは限らない。しかし、エンジニアの気持ちはお客さんに伝わると思う」と補足した。

同社は、2030年に150万台、2050年には300万台のBEVを販売すると宣言している。しかし、そのトップバッターとして世に出したbZ4xは、走行中に脱輪するという想定外の不具合でリコールされ、またバッテリーの残量表示などのHMIで一部から批判され修正するなど出鼻をくじかれた。そこで、2016年10月設立の「EV事業企画室」以来のBEV開発体制(下図)を見直した。
bZ3.jpg従来の体制.jpg


新「BEVファクトリー」プレジデントの加藤氏は、中国BYDと設立したEVの研究開発に関する合弁会社BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー(BTET)に出向し、CTOとして技術開発を主導してきた。

2022年12月に予約販売を開始したセダンタイプの中国専用EV「bZ3」の開発リーダーを務めた。株主総会の会場前には「bZ3」が展示してあった。
同氏が、総会や技術説明会で述べた内容は、テスラが3月行った「投資者説明会2023」で公表された内容とほぼ同等である。テスラは、最近既販売モデルを相次いで値下げし、イノベーション層以外の顧客層への浸透を図っている。

テスラをキャッチアップするには、素早い意思決定など"仕事のやり方"の変革が急務である。

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