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愛知県日進市の自動運転バス実証実験

[ Editor’s Column Smart City/豊田市動向 自動運転 ]

愛知県日進市では、2023年1月から、市内のコミュニティバス「くるりんバス」路線の一路線に自動運転バスを導入。
2024年2月12日 "次世代モビリティフェスタinにっしん"を開催、同実験に関するシンポジュームが行われた。

日進市の概要日進市MAP.jpg
日進市は、愛知県のほぼ中央部に位置、西は名古屋市東部、東は豊田市・みよし市、南は東郷町、北は長久手市に隣接する、人口93,643人の都市である。(2023年4月)

交通の概要
市の南北に、東名高速道路、東西に、名鉄トヨタ新線が名古屋地下鉄と相互乗り入れ、また、主要幹線道路 国道153号線が同線とほぼ並行して配置されている。
平成23年 Person Trip調査の全目的代表交通手段分担率では、自動車が64.9%、鉄道が16.4%となっており、地方都市の典型と言える。
また交通のODでは、名古屋・豊田など周辺市町村への流出が多くベッドタウン的性格を持っている。

日進市交通手段分担率とOD.jpg
コミュニティバス「くるるりんバス」導入
日進市の公共交通は、前項で記した通り、名鉄道豊田線があり、市内に3駅が設置されている。バス交通については、名鉄バスによる民間路線バスが、赤池駅から長久手市にある愛知高速交通東部丘陵線長久手古戦場駅まで乗り入れている。
また、一部名古屋市営を含む複数の路線バスも運行されている。
これらの交通網を補完する公共交通として、市内巡回バスが平成1996年から試行運転、1999年(平成11年)に「くるりんばす」と命名、本格運行を開始、市域全体を大きく循環した交通ネットワークを形成している。

「くるりんバス」路線に自動運転バス導入の実証実験日進市実験バスと市役所.jpg
―国土交通省 令和3年度「地域公共交通確保維持改善事業費(*)―
2023年1月25日「くるりんバス」の一部路線で自動運転バスの実証実験を開始した。
実証は、2022年12月に設立した、産官学が連携する自動運転実装コンソーシアムの 6者(日進市、BOLDLY、名鉄バス株式会社、株式会社セネック、株式会社マクニカ、名城大学)が連携して実施、自動運転レベル 2 で自動運転バスを運行開始した。日進市実験乗車数.jpg
(*)国土交通省 令和3年度「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転実証調査事業)」における補助事業者の公募結果
愛知県日進市、茨城県境町、茨城県常陸太田市、沖縄県北谷町、滋賀県大津市、長野県塩尻市、新潟県佐渡市、兵庫県三田市、北海道上士幌町

自動運転実装コンソーシアムは新たに自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」(仏 Navya 社製)を 1台導入し、2023 年度以降は、フェーズ 2 として信号機と自動運転バスが通信により連携する信号協調を検証、マイナンバーカード利用した予約システムを試行している。また、コンソーシアムは新たに1台購入し走行ルートも追加した。

本実証では、コミュニティバス「くるりんばす」を運営する名鉄バス株式会社が自動運転バスの運行業務を担い、
株式会社セネックは、BOLDLY の運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を使って茨城県境町の本社オフィス(遠隔監視センター)および日進市内の施設の2拠点で遠隔監視を行っている。
実験当初の利用者は一日平均47人、今後実装に向けた準備を実施中である。(出所:日進市)

モビリティフェスタin 日進における議論(日進市市民会館:2月12日(火))
シンポジューム「モビリティフェスタin 日進」が 名城大 松本教授のコーディネータのもと開催された。
日進シンポ幅径&登壇者.jpg
シンポジュームは、
今回の日進市のプロジェクトに直接携わっているだけでなく、◎自動運転のオープンOS「AUTOWARE」を提供している(株)ティアフォー、◎物流用途に特化してドローンの機体を設計する企業である(株)エアロネクスト、
◎産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる独自の機体構造設計技術を持つ(株)プロドローンのCEOが参加していた。
モデレーターの松本教授は「世界一流のパネリスト」と紹介した上で、事務局の事前PR不足で聴衆が少なったことを残念がった。
デスカッションで、BOLDYの佐治社長は、
①日進市は既存の公共交通のルートに自動運転バスを導入したこと
②平均乗車率が他市に比較して圧倒的に多いこと
③日進市が他の地方都市と異なり「人口増加が見込まれることからさらに利用増加が期待できる」等を挙げた。

また、空のモビリティ(特に物流)としてのドローンの役割についての期待も議論され、医薬品の配送や不法投棄の監視、測量や橋梁の点検などの有用性があげられた
日本の運輸に対する行政の要求レベルが高い(自主的な取り組みが行いにくい)ことも指摘され、ドローン運用に対する許認可などの制度の整備が急がれるとの意見があった。

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