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「地方公共交通危機」に関する論議

[ Editor’s Column 政策動向 ]


①公有民営は「やむ得ない」
基本的には、「民営」が望ましく、独禁法の特例適用による経営統合、ネットワークの統合等により、運営されることが望ましい。特に「中小地方都市、過疎地」においては「公設公有民営化」は、やむ得ない。
理想的には「公の公平・透明性」と「民のスピードとBS、PLCS重視」の経営が行われることを期待したい。前記の「民営公共交通限界論」に基づく「官と民の安易な結合」は避けなければならない。

②イノベーション
そのための担保として、最近政府プロジェクトのCOI等でみられる、経営努力の評価制度を実施すべきだろう。
評価の重要なポイントとして、「生産性」「イノベーション」についての取り組み状況が重要となる。
シンポジュームの中で、家田教授が述べているように「自動運転ははるか先」ではあるが、データ共有、交通手段間連携、などについては、キャッチフレーズばかりではなく具体的に取り組まれているかを評価してほしい。
生産性向上の対策の一つとして、既存ネットワークの統合、企業統合、は必至。地方金融機関の合併統合のように、公共交通の統合は避けられない。

③審査機関
「税金」の投入の審査機関として、過去の例から見ると、新たに「〇〇再生機構」が発足し、トップは、民間財界人、実務は、官僚と関係業界が占めるという組織になることが予想される。人材的には仕方ないが、「わくわく感のない改革」になることを危惧する。
国鉄、郵政、道路公団民営化、のように「政治」のリーダーシップが期待できない中での身内だけでの改革にならない様、前述の①、②は重要である。

④目的税化は慎重に
地方交通を安定させるため、財源の「目的税化」は有力な選択肢だが、言うまでもなく弊害もある。
先の消費税税率アップの折には「福祉目的税的」という説明が行われた。「地方公共交通財源」もこれらと整合性を持つことが期待される。

余談だが、各国で競ってEVへの多額の助成、例えば'100万円/台、には違和感がある。ひと昔前では、WTO違反と騒がれただろう?
地方公共交通再建のためには「電動・自動バスへの助成」が優先されるべきである。

⑤公助、自助、共助にバランス
シンポジュウムでは、地方公共交通機関再生のための「公助、自助、共助」について議論された。
その中で気になるのは「料金」について取り上げられていない点である。自助として利用促進と合わせて「料金アップ」は避けられない。
高齢者は、現役時代は大都市、退職後は、固定資産税が割安、物価も比較的安価な地方都市での生活が望ましいという説もある。しかし、「料金値上げ」は避けられない。
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