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JMS2023取材印象記"空飛ぶクルマ"(HM記)

[ Editor’s Column イベント報告 取材 ]

4年振り開催のJapan Mobility Show(旧東京モーターショー)のプレスデー(10月25日、26日)に出かけたので、独断と偏見を以て感想を述べたい。Motor→Mobilityへと名前が変わった。単なる"自動車"から"乗り物"に変わったことから、電車、4足ロボットから空飛ぶクルマまで、若干、何でもありの世界となったが、流石にレジャーボートや潜水艇は見かけなかった。時代が進むと当然海の乗り物やロケット等も展示に加わると思われる。
筆者は、2012年にトヨタ創業家に社内提案したこともあり、ここでの話は特に空飛ぶクルマ絞らせてもらうものとする。

最初に、スバルは5ローターのコンセプトのモックアップを展示していたが、乗用車のコンセプトカーの上部の空間に設置したことから、陸と空のコンセプト同士がバッティングし、航空機の製造・販売事業も行っているスバルとして何を主張したいのか伝わってこなかったのは、少々残念に思われた。
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それに比し、ホンダは展示エリアの半分ほどを、HM02.jpgホンダジェットの最新仕様のボデーのモックアップと、ホンダジェットの模型並びに空飛ぶクルマのコンセプトの模型展示が占めており、モビリティーショーの面目躍如の感があった。

空飛ぶクルマの開発担当の人にそれとなくホンダジェットの事業性に関し誘い水を掛けてみたところ、当初4億円/機ほどだった価格が今や7億円/機と値上げしているが、年間40数台の販売台数とのことで、事業としては大変苦しい状況としていた。只、FAAからの認証取得に関してはホンダジェットは大変上手く行ったことに言及したところ、GEのエンジンを採用したことで、開発時から型式認証までのデータ管理方法をGEから学習し実施したとのことで、それが成功要因になったとしていた。そこで、MRJが失敗した理由について聞いてみると、三菱航空機ではこのデータ管理がなされなかったことが敗因としており、小生の見解と全く同じであることが確認できた。

同様に、空飛ぶクルマのコンセプトの開発でも、データ管理を予定しているし、更には、シミュレーション技術も駆使しているとし、空飛ぶクルマの事業性についても、社会との係わりもシミュレートし検討しているとしていた。小生の憶測では、"クリスタルボール"といったツールでシステムダイナミックスによる事業性推定をしているのではと思われる。
ホンダの空飛ぶクルマのコンセプトの特徴としては、e-VTOLと言っても、2次バッテバッテリーのみの搭載による飛行を予定しておらず、燃料としてSAF(Sustainable Aviation Fuel)を用いるガスタービンエンジンが、付随する後部発電機で発電した電力を2次バッバッテリーに充電し、蓄えた電力によりロータ駆動(飛行)するシリアルハイブリッド方式を採用している点であろう。因みに、ガスタービンエンジンは胴体後部に配置している。HM03.jpg

また、VTOL機能としては、前翼と後翼に渡したバーに垂直発着専用の8個の小型ロータを配している。他方の推進機能は、テールに2個の大きめの推進ロータを配している。つまり、オスプレーの様な垂直発着の為のロータと推進ロータを兼用するチルトロータ方式を、ホンダは明快に避けている(結果として、当初のウーバー社の空飛ぶクルマのコンセプトに似たものになってしまっているのは少し残念ではあるが)。そこで、ロータ数は違うものの、チルトローター方式を採用しているJOBYの安全性についてどう評価しているか聞いてみたところ、"不安全"とのダイレクトな言葉は避けたものの、前述の機体構成を取っていることでどう判断しているかは分かるはずとしていた。只、デッドマンカーブ(DC)の領域とボルテックスリング(VR)の発生領域を、自身のコンセプト機に於いてシミュレートできているかは、確認できなかった。
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尚、安全確保の方策としては、システムに冗長性を持たせることで、今のエアラインの事故率「10の-9乗」を目指しているとし、このことでヘリコプターの事故率「10の-7乗」の100倍の安全性を確保できるとしていた。これにより、法規適合/認証取得に於いて、DCとVRの議論をさて置く(避けて通る)ことを狙っていることが分かったが、全動力源喪失時に空から安全に帰還できる既存の航空機と同等以上の安全をe-VTOLでの全電源喪失時に確保できると言えるかは、なお課題が残ったままである気がした。

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