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「MONET」が目指す「移動サービス」(追記)

[ Editor’s Column ]

ソフトバンクとトヨタ自動車が設立した「MONET(モネテクノロジー)」は、自動運転社会に向けた事業戦略会を開催(2019年3月28日)した。

■MONETの経緯を簡単に纏めると以下の通りである。
 ◆2018年10月4日、ソフトバンクとトヨタ自動車が、新しいモビリティサービスの構築 に向けて戦略的提携に合意2月1日に出資完了、事業を開始。
・自動運転資本金等:20億円(将来的には100億円へ増資予定)
・株主構成:ソフトバンク株式会社 50.25%、トヨタ自動車株式会社 49.75%

 ◆MONETの事業、以下の3項目。
  ① オンデマンドモビリティサービス
  ② データ解析サービス
  ③ Autono-MaaS(※)事業
 (※)"Autono-MaaS"とは、Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaSを融合させた、 トヨタによる自動運転車を利用した モビリティサービスを示す造語

 ◆2019年2月18日には「次世代のオンデマンドモビリティサービス」の提供に向けて、 17自治体(※)と連携を発表。現在、全国約 150自治体との協議を進めていると明らかにした。

(※)安平町(北海道)、仙北市(秋田県)、横浜市、鎌倉市(神奈川県)、加賀市(石 川県)、伊那市(長野県)、岐阜市(岐阜県)、藤枝市(静岡県)、名古屋市、豊 田市(愛知県)、大津市(滋賀県)、川西市(兵庫県)、福山市、府中市、東広島 市(広島県)、嘉麻市(福岡県)、菊池市(熊本県)

 ◆また、自動運転機能をもった電気自動車の『e-Pallete』を、「2023年をめどに MONETのサービスのひとつとして投入したい」との方針を示している。
 ◆2019年3月28日、ホンダと日野がMONETにそれぞれ2億4,995万円を出資、9.998%の 株式を取得する予定と発表した。この結果、ソフトバンクは40.202%、トヨタ自動 車が39.802%の株式保有となる。
 ◆同日「MONETコンソーシアム」を設立し計88社が参加したと発表。

■以上の経緯を見るといろいろのことが見えてくる。
 ◆最近、国の内外を問わず、先端の制度や技術の導入に当たって、産官学連携とコンソ ーシアムづくりが手段として採用されるようになっている。
 コネクテッドカ―ソフトのAECC(Automotive Edge Computing Consortium)、中 国百度が立ち上げた自動運転の「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画 (※)」、フィンランドのMasS Globalなどがよく知られている。

 (※)これまでに、中国国内の第一汽車、北京汽車、長安汽車、東風汽車、長城汽車、奇 瑞汽車、江淮汽車、フォルクスワーゲンの中国法人をはじめ、独BMWやダイムラ ー、日本のホンダ、スウェーデンのボルボ、米フォード、韓国の現代、英ジャガー ランドローバーなどの海外自動車メーカーや、独ボッシュ、コンチネンタル、 、仏ヴァレオ、米エヌビディア、マイクロソフト、インテル、ベロダインライダー といった部品大手や自動運転開発関連企業など多くの企業が参加している。(2019年1月時点で、130の企業や研究機関が参加)
 ◆このほど、MONETにホンダや日野が資本参加、約90社からなるコンソーシアムが発 足することにになった。
 最近ホンダは、自動運転や5G通信ネットワーク構築の分野でソフトバンクとの関 係が深い。今回も同社の呼びかけにより実現した。
 MONETはソフトバンクが筆頭株主、社長も同社の宮川副社長が兼務している。同氏は日経の取材に対し以下の様に述べている(※)
 (※)「自動車メーカーは、MaaSのような共通基盤は共創領域 と捉えている。しかし仲 介者なしに進めることが難しかった。その点につ いてソフトバンクのようなポジシ ョンは受け入れやすかったのだろう。 は共創領域だが、自動運転車のような 商品は競争領域だ。」

 ◆コンソーシアムの構成をみると、小売、旅客、物流、医療、金融、など幅広く参加し ている。一方、不参加業種・企業を見ると、通信業界のNTT、KDDI、自動車業界 のマツダ、広告業界の電通、コンビニ業界が目立つ。マツダはCES 2018でトヨタ がe-Palleteを紹介した際、DiDi、Uberとともに登壇して注目されていた。

 ■ビジネスモデル及び今後の展開について、
宮川社長は先のインタビューで(※)、海外展開も考えている、サービスとしては「現在のインターネットよりも大きなサイズのお金が動く」ことを想定している、と述べている。
(※)「まだ半分以上はノーアイデアだがいつかは海外に出ていく。高齢化社会の解決策 として期待されている日本のMaaSに対し、海外ではそれぞれの地域で解決すべき 課題が異なるだろう。共通のソフトウエアを作り、それぞれの国でカスタマイズし ていく形になる」

 「MaaSのシステムで使用料を取るようなビジネスならば、今でもできている。た だ自動運転車が普及する時代になれば、現在のインターネットよりも大きなサイズ のお金が動くと考えている。MaaSの分野は先手必勝だ。今のところモネほどの規 模で動いているライバルはいないと捉えている」

 ◆3月28日の説明会でのパネルでは、MaaS戦略として以下の3点を挙げている。
  ① 既存交通の適正化monet businnes jpg.jpg
  ② 新たなライフスタイルの創出
  ③ 社会全体の最適化
 ①はいわゆる交通手段のマルチモーダル活用によるエンドtoエンドサービス、②は e‐Palleteコンセプトを主たるツールとしたサービス展開によるライフスタイル提 案、③はモビリティを核としたスマートシティの構築ということであろうか?

■MONETは、冒頭で紹介した通り、昨年10月の構想発表、現在、企画会社の段階であるがかなりのスピード感で構想を具体化してきている。現時点でe-コマースの覇者と言えるアマゾンやアリババ(※)に「モビリティ」の分野から挑むことになる。
(※)SBはアリババに対しては約30%出資しその時価総画は15兆円に達している。

しかし、上記の3項目はいずもハードルが高い。オンデマンドサービス、宅配あるいは"移動式コンビニ"は過疎地の社会課題解決には貢献しそうだが大きな市場が発掘できるか?IT,通信業界にとっては大きな新市場だが、モビリティサービス事業規模はどの程度か?GAZOO との関係は?オンデマンドが通勤交通需要に対応可能か?自動運転の本命である乗用車系の展開は?等々。

しかし、モビリティを核とした社会的なイノベーションは、IoT,AIの普及の中で世界的な模索が行われている。Pcw,矢野経済研究所、Arthur D Littleなど調査会社もいろいろのレポートを発表している(※)。既存業界や競合相手からアリババのように「MONETされる」と言われるようになれるのか?その条件は何か予断を持たず考えたい。

(※)Pwc The 2018 Strategy&Digital Auto Report
PwcDigital-Auto-Report-2018.pdfMaas01_edited-1.jpgPwcDigital-Auto-Report-2018.pdfMaas02.JPG

(※)矢野経済研究所 国内MaaS市場に関する調査(2018年)
maaS YANO R 01.JPG
(※)Arthur D Little 「マルチモーダルサービス事業ビジネス・収益構造」
Arthr D Little  multi modal02.jpg


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