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「best effort型」サービスとクルマ

[ Editor’s Column 自動運転 ]

 事務所のメインパソコンはWindows7からWindows10にバージョンアップしたものを利用している。マイクロソフト社の執拗なプッシュで自動更新したものである。
昨年はWindows10秋の大型アップデートが行われた。Update後、事務所のパソコンは、起動、シャットダウン時の不具合が発生、不安定な状況が続いた。
マイクロソフト サポートセンターに問い合わせ、そのガイダンスに沿い対応したが、解決しない時期が続いた。サポートセンターの窓口も困惑の様子で「フィードバック欄に投稿」してという状況であった。

▼インターネット普及時の通信業界では「best effort型」サービスという用語が使われた。
「best effort」とは「最大限の努力をします」「提示している通信速度やサービスの質は保証できません。なるべく、その内容に近づくよう努力します」といった意味である。
Webサービスではβ版と呼ばれる試作段階がある。正式版をリリース(公開)する前にユーザーに試用してもらうためのサンプルのソフトウェアである。ベータバージョン、試用版(しようばん)という場合もある。
昨年春 開催された「Cloud Days 2017」のセッションで、あるベンダーが、IT業界では、(スピードを重視するため)担当者にソフト改修の権限を委譲し、その為ソフトの変更全体を社として把握できない状況になっていると指摘していた。

▼平成28年9月に開催された第9回産業構造審議会・新産業部会で、委員のDeNa南場会長は同社のロボットタクシーやカーシェアサービス等を紹介した後、「インターネットビジネスからみた⾃動⾞産業の⾒⽅」として、自動車産業は「i-mode以前」すなわち、やっと「デジタル端末がネットに繋がった」状態であると評した。
確かにインターネットビジネスから見た場合、「スピード感」はそのような状況ではある。

▼クルマのIT化は、1970年代以降である。先ずはエンジン制御に代表されるパワートレーン制御分野で利用され、1980年代に主としてマイコン制御によるボディ系、走行安全系、情報系へと拡大していった。
この中で、「走る・曲がる・止まる」のクルマの基本制御系のソフトは、人命にかかわるものだけに、いわゆる「Best effort型」は決して許されない。
一方で、最近の警察庁のガイドラインに基づく自動運転公道実験を見ていると、「用心深くそろりそろり」推進している状況であり自動車揺籃期のロンドンにおける「赤旗規制」を笑えない風景でもある。(赤旗規制)

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▼今後、自動運転に関して、国を巻き込んだ異業種間競争が展開される中で、技術開発、品質保証、供給体制などの難問がつぎつぎ出てくるが、「破壊的イノベーションへの対応をIT企業型ではないスピード対応」した企業が勝者となる。

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