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MaaSに関する過熱と現実

[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS MaaS 自動運転 ]

最近、記事やニュースなどでMaaS「マース」を目にする機会が増えている。
◆長年、交通政策や交通環境動向をフォローしているが、戸惑うほどの盛り上がりである。MasSは、英国のコンサルタント・北欧の大学で提唱され、フィンランドの首都・ヘルシンキにおいて世界で初めて実現した。
MaaSは一言でいえば、IT技術とりわけ「スマホを用いた移動のワンストップサービス」、いわば、IoT、XaaSの移動版である。

▼関係者が注目しているのは、
◎新しい市場が出てくる可能性があること。
◎既存の交通手段提供者、すなわち自動車や鉄道などのビジネス構造に大きな影響を与える可能性・危機感があること。
一言で言えば、自動車や鉄道がMaaS 事業者のもとでTear One サプライヤーになるという見立である。

◆日本でも学者による呼びかけで情報交換組織が発足した。企業でも組織が新設され、企業間の連携による新会社や投資も活発である。関連の出版物も増えている。
自民党の中に推進の議員連盟も発足した。
▼経済産業省のレポートではMaaS市場を2段階に分けている。
第1段階:マルチモーダルサービスに関するワンストップサービス、
第2段階:医療、保健、買い物、旅行など異業種を含めたワンストップサービス化。
スウェーデンのチャルマース工科大学の研究者は、MaaSを交通手段統合の程度に応じ0~4の5段階に分けている。

▼アイルランド調査会社 リサーチ・アンド・マーケッツは世界の市場規模を、2017年の387億6,000万ドル(約4兆2600億円)から25年には3,583億5,000万ドル(約39兆円)としている。(日経ビジネス4月29日のMaaS特集号)。矢野経済研究所は、2030年の国内市場を6兆円と予測している。

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日本の自動車メーカーの売り上げだけでも約70兆円。多いとみるか少ないとみるか判断の分かれるところである。ただ自動車メーカーが危機感は、新車販売が伸びない中での新分野の急成長という事実に対してである。

◆次にマクロでみてMaaSが、移動の総需要増加の方向、需要創出に作用するのか、それとも総需要はあまり伸びず、ゼロサムの世界なのかという点である。
◎アマゾンなどEコマース(EC)の物販量が拡大したか?経済産業省の調査によると日本でのECのシェア6.2%、2018年の前年度比8.1%とは確実に増加しているが、物販総需要は増加していない。(経済産業省 電子商取引に関する市場調査)。
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◎一方、通信事業をみると、通信自由化時の1985年NTT、KDDの売り上げが5兆3,570億円であったの対し、2016年は14兆1,862億円に達している。スマホとりわけデータ通信は大幅に増加している。NRIが最近米国で行った調査によるとライドシェアを含むタクシー&リムジン業界全体の従事者数は、2009年23万4177人から16年77万8155 人と益3.3倍に拡大。ライドシェアが新たな雇用創出に寄与しているとしている.(NRI知的財産創造4月号)

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