
米NY市混雑税の現状―6ヶ月経過― |
[ Editor’s Column ITS/CASE&MaaS ITS海外情報 他都市のまちづくり 政策動向 ] 2025年7月15日 |
2025年1月5日NY市マンハッタン60丁目以南区に混雑税が導入されて6ヶ月が経過した。(NY市渋滞税)連邦政府DOTの実質的停止命令とそれに対する州政府の指し止め請求を経て今日まで実施されている。6ヶ月間の主な出来事を表1に示す。
<表1:6ヶ月間の主な出来事>
混雑税に対する効果や意識調査も行われている。渋滞・大気汚染・車の走行速度・混雑税収などの効果、NY市5地区・周辺住民の意識調査が発表さているがほぼ想定通りで特に目新しいことはない。
周辺地区からマンハッタン地区に流入している自動車ドライバーは"手厚い補助"(表2-3)が行われており意外と反対が少ない。
<表2:意識調査>
<表3:自動車ドライバーは"手厚い補助">
このままだと、シンガポール、ロンドン、ストックホルムに続きNYも継続される可能性が大きい。
混雑税をめぐる連邦政府とNY州の対立は公式見解とは別に、共和党と民主党の都市政策等に関する違いに根ざしていると言える。
連符政府の反対の公式見解は、以下のようなものである。
①「地方経済に打撃を与える」 → 郊外(サバーブ)やアップステート(ニューヨーク州北部)などから通勤する中間層にとって、追加の経済負担になる。
②「不公平な都市税」 → マンハッタン区民が優遇され、周辺地域住民が一方的に損を被る構造だと主張。
③「連邦高速道路法違反」 → 高速道路連結部分(例:FDRドライブなど)に間接的な課金影響が及ぶとし、連邦道路法(Federal Aid Highway Act)との抵触を指摘。
しかし。政治的"本音"は以下のようなものと言われている。
① 都市 vs 郊外の対立構図の活用、② 民主党の政策つぶし、③ 環境政策への否定的立場、④ 財政的独立・州権主義の逆説的主張、⑤ 2026年中間選挙を見据えた郊外重視戦略
連邦裁判所は12月に結審予定である。しかし、その後も紆余曲折が予定される。