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寡占による通信料金の下方硬直性

[ Editor’s Column 自動運転 ]

◆◆菅 義偉 官房長官は、16日の那覇市の街頭演説で、携帯電話料金の引き下げに関し、携帯会社大手は利用者に利益を還元すべきだとの考えを示した。
8月21日の札幌市内での講演で、携帯電話料金について「4割程度下げる余地はある」と発言して以来2度目である。官房長官の発言には、以下のデータが背景にあると思われる。
▼料金の国際比較は 下記(出所平成30年情報通信白書)の通りで安くなく、家計に占める割合が増加している。
使用条件により単純に比較はできないが、月利用料は音声70分、メール148通、データ通信2Gの場合、NY・ソウルより安く、ロンドン・パリより高い。世帯当たりの通信料は、平成29年(2017年)度、122,207円。消費支出に占める割合は4.1%で漸増傾向にある。
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▼一方、携帯電話大手三社の2017年度決算は、下記(出所:同上)の通りで好決算である。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク(グループ)ともに約1兆円の営業利益を計上している。
いわば「大手3社の寡占による料金下げ止まり」状況と見て取れる。
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◆◆通信の競争状態の動きは、通信自由化の推移を見ると良くわかる。
我が国の通信は、NTT(日本電信電話公社)の独占で提供されていた。米国A&Tの自由化を範として、1985年に参入が自由化、日本テレコム(JR系)、第2電電(京セラ)、日本高速通信(トヨタ・道路公団系)の3社が参入、「LCRメーター」と呼ばれる専用アダプター設置競争と料金競争が展開された。
携帯電話については、NTTドコモに対して、トヨタ系の日本移動通信、DDI-セルラーグループが参入、さらに日本テレコム系のデジタルフォンが参入した。
その後、詳細は別の機会に譲るが通信事業者の合掌連衡が続いた。
現在は、NTTドコモ、DDIを主体にしたKDDI、日本テレコム・デジタルフォーン・ボーダーフォンを買収したソフトバンクグループ、の3社体制になっている。
(ソフトバンクは、ボーダーフォンを当時日本企業として最高額となる1兆7500億円で買収、周波数の割り当てでは総務省を相手に行政訴訟を起こしたことは記憶に新しい。)
つまり、KDDI(母体はDDI)、ソフトバンク(日本テレコム、ボーダーフォンを吸収)、NTTドコモ、の3社体制の寡占となっている。
その結果、NTTを"ドミナント企業"と批判し競争条件の公平化を主張した、KDDIとソフトバンクまでもが、格安業者(かっての第2種通信事業者)に提供回線の通信速度で格差を付けているのではないかという批判を受けている。
◆◆通信事業は、技術革新も早く、研究開発、インフラ投資も膨大となる。直近は,第五世代(5G)の導入のための国際間の競争は激しく、自動運転システムの導入にも必須の技術となっており、3社の健全な成長は重要である。

しかし、現状での3社の対応を見ると、「政治や官の介入」を排除しながら、一般利用者の利便性向上、国際競争での両立を実現させることに悲観的にならざるを得ないのは残念である。

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