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ITS情報、まちづくり情報

東京モーターショー2019 

[ イベント情報 ]


◆デンソー
デンソーの有馬社長は、プレスカンファレンスで、自動運転が進むとECUの熱マネジメントが重要な課題になるがデンソーには60年来の熱マネジメント技術があり、優位に立てるとした。また、その開発のスピードアップには、ソフトウェア開発力が重要で、2025年までに、世界全体でのソフトウェア人材を1万2000人まで拡大し、世界中の拠点を活用して24時間体制で協力に進めると述べた。

◆コンチネンタル
コンチネンタルは「モビリティは生活のいのち」というテーマを掲げ、自動運転とコネクティビティ、電動化を3本の柱として示した。高速道路での長距離走行では、運転以外のアクティビティに集中できる時間を作るとし、バレーパーキング機能や自動での無料駐車場探しもすると言う。
一方、筆者は、ブリジストンとのタイヤへの取組の違いについて興味を持った。
コンチネンタルは、これからもゴムタイヤ使用はまだまだ続くと判断しているようだ。ゴムタイヤを長寿命化する技術として、タイヤ空気圧を一定に保つポンプ機構を内蔵し、これを走行中の速度変動に応じて無電源で動作させ、空気圧を調整する。これによってタイヤの片減りを無くし、長寿命化しようとするものである。

◆ブリヂストンTM2019SBS.jpg
一方、ブリジストンは、ゴムに代わる新しいタイヤ用の素材として"SUSYM"という、ゴムと樹脂を分子レベルで結合したハイブリッド素材HSR(ハイストレングスラバー)を発表した。天然ゴムと比べると亀裂性が5倍以上、耐摩耗性が2.5倍以上、引っ張り強度が1.5倍以上と非常に強い特性を持っている。また、ゴムは一度切れたり破れたりすると修復することはないが、SUSYMは、熱を加えると復元する特徴を持っている。更に、ゴムと違って、どんな色にも着色できるし、素材の割合によってジェル状や粉状などいろんな形状にもできる。まだどの様な使い道があるか具体的な用途は、提案を待っているとのことである。ブリジストンは、近い将来、タイヤメーカからの脱皮を狙っているのかも知れない。

◆ドコモNTTTMS20195G.jpg
さて自動運転に必須の技術と言われる5Gの普及を目指すドコモが、今回初めて東京モーターショーに参加した。注目は、5Gを活用した遠隔の自動運転である。
ドコモの横須賀R&Dセンター駐車場内道路を走る自動運転車両と、ビッグサイト内のドコモブースを5G回線で結び、複数の車載カメラの映像を監視して車両を遠隔操作させた。遠隔運転の技術は、ヴァレオの遠隔運転技術「Valeo Drive4U Remote」を用いている。
私は、5Gを用いた自動運転に対していささか疑問を持っている。そもそも5Gは"4Gに比べ100倍の通信速度"と言う謳い文句は本当だろうか? ドコモの担当者にその疑問をぶつけると、"100倍はあくまでベストエフォットである"との回答だった。
では、一体を5Gの27GHz帯を使った無線領域で、理論上何処までの高速化ができるのであろうか? 皆さんご存じのように、電波の速度は周波数にかかわらず一定(秒速約30万km/秒)である。従って変調速度を上げない限りデータ伝送速度は稼げない。変調速度を上げるとその分電波の帯域幅が必要となるが、27GHz帯で100倍の帯域を確保できたと聞いたことがない。だとすれば、無線系でなく基地局内のデータ処理を高速化していることになる。基地局内のデータ処理を高速化するのであれば、なにも新に直進性がより強くなる27GHz帯を使う必要も無いだろう。そうすれば、今までの4Gの基地局をそのまま使ってエリアを確保できるし、電波の回り込みも少しは大きいので、交差点や障害物に遮られる事が少なくなり、自動運転にも有効だと思うのだが・・・。今回の見学ではまだこの疑問は消えていない。
入場者数100万人を目指して、今年大きく展示の方向性を変えようとした東京モーターショー。自動運転、MaaSと言う大きな変化の中で、これからもどの様にすれば人々に自動車への興味・関心を持ってもらえるかを模索し、トライしたモーターショーとなりそうだ。(西村良博)

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